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『ミヒャエル・コールハースの運命』 クライスト(岩波文庫)

ミヒャエル・コールハースの運命―或る古記録より (岩波文庫)ミヒャエル・コールハースの運命―或る古記録より (岩波文庫)

書名:ミヒャエル・コールハースの運命―或る古記録より
著者:ハインリヒ・フォン・クライスト
訳者:吉田 次郎
出版社:岩波書店
ページ数:114

おすすめ度:★★★★




クライストの小説作品といえば、何はともあれこの『ミヒャエル・コールハースの運命』である。
どことなくシラーに通ずるような精神性がにじみ出ており、執筆された時代性をも感じることができる作品に仕上がっていると言えるように思う。

『ミヒャエル・コールハースの運命』は、その巻頭で語られるとおり、誠実この上ない馬商人だったコールハースが司法に逆らう盗賊となるまでを描いた小説である。
コールハースが馬を売りに出かけたところ、通りがかった土地を治める領主に馬を担保として要求され、そこに仕方なしに馬を預けていったところまでは特に問題もなかったのだが・・・。
本書を手にする読者はみな、国民としての権利を不当に踏みにじられたコールハースに対する共感を強く心に抱きながら読み進めていくに違いないので、それだけいっそうストーリーに引き込まれやすくなっていることだろう。
政治的な駆け引きや神秘的なエッセンスも盛り込まれていて、一つの作品としての彩りも豊かであるといえる。
世界の文学〈5〉シラー.クライスト―新集 (1972年)世界の文学〈5〉シラー.クライスト―新集 (1972年)

『ミヒャエル・コールハースの運命』を読むには岩波文庫が一般的かと思うが、仮名遣いが古くて少々読み辛いのが短所であり、これでは『ミヒャエル・コールハースの運命』の備える展開の軽快さが損なわれることにもなりかねない。
その点、右に紹介する文学全集に収められている国松孝二氏の訳文は、仮名遣いが新しいだけではなく、そもそも訳文も読みやすいので、流通量は少ないがこちらもお勧めである。

クライストのストーリーテラーとしての才能が遺憾なく発揮されている『ミヒャエル・コールハースの運命』は、どれだけ控えめに言っても、かなりよくできた作品である。
個人的には、クライストの代表作とされる『こわれがめ』よりも楽しめたし、本書を読みながら退屈する読者を想像するのはちょっと難しいと感じてもいる。
クライストに興味のある方には強くお勧めしたい作品だ。
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