『ホリデイ・ロマンス』 ディケンズ(編集工房ノア)

ホリデイ・ロマンスホリデイ・ロマンス

書名:ホリデイ・ロマンス
著者:チャールズ・ディケンズ
訳者:杉山洋子 他
出版社:編集工房ノア
ページ数:124

おすすめ度:★★★☆☆




ディケンズの最晩年の短編小説集がこの『ホリデイ・ロマンス』である。
ディケンズ自身が編集者を務めていた雑誌に連載した作品で、こどもが書いた設定になっているという点からしても、異色の作品であると言える。
内容的には短編小説というよりは童話とみなしていいように思うが、無名の作品を紹介してくれているとあって、ディケンズのファンにはうれしい一冊ではなかろうか。

『ホリデイ・ロマンス』には、一連の物語が書かれるようになったきっかけを述べた『はじめのお話』、妖精が王女にくれた何でも願い事の叶う魔法の骨を描いた『魔法の魚の骨』、ラテン語の先生を目の敵とする剛勇無双の海賊船船長の物語である『キャプテン・ボールドハートの冒険』、大人とこどもの立場が逆転し、こどもが出来の悪い大人を寄宿学校でしつけるという『さかさま国のお話・大人の学校』の四編が収められている。
どれも短いだけでなく、文章もこどもが書いたものとして訳されているので非常に読みやすい。
ディケンズが本当は何を意図していたのかを考えてみる等、あえて深読みする程の作品ではなさそうなので、読み応えある作品を期待する読者には不向きだろう。

本書には、愛らしいイラストが掲載されていて読者の心を和ませてはくれるものの、それらは原書の挿絵の掲載をあえてやめて、本書のために書き下ろされたものらしい。
個人的には、原書に付されていた挿絵をそのまま採用してくれたほうがはるかにありがたかったので、この点は少し残念な気もする。

自らの小説の中で、当時のこどもの教育機構に対しては常に手厳しかったディケンズであるから、『ホリデイ・ロマンス』のようにこどもの側の視点から作品が書かれるのも、そこそこ妥当なことであると思う。
ディケンズにしても、これらの作品にそれほど力を入れて書いたわけではないだろうが、年齢を問わず気軽に読める作品集として、本書を書架に加えておいても損はないのではなかろうか。
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