『肝っ玉おっ母とその子どもたち』 ブレヒト(岩波文庫)

肝っ玉おっ母とその子どもたち (岩波文庫)肝っ玉おっ母とその子どもたち (岩波文庫)

書名:肝っ玉おっ母とその子どもたち
著者:ベルトルト・ブレヒト
訳者:岩淵 達治
出版社:岩波書店
ページ数:253

おすすめ度:★★★★★




『肝っ玉おっ母とその子どもたち』は、『三文オペラ』と同様にブレヒトの代表的な戯曲の一つに数えられている。
タイトルからも察せられるように、従軍商人として戦地を渡り歩くアンナ一家のたくましい姿が描かれている。
第二次世界大戦やナチズムとも無関係ではないものの、作品自体に重苦しさはないので、気軽に手にしていただければと思う。

『肝っ玉おっ母とその子どもたち』の舞台は、三十年戦争の最中のスウェーデンやドイツ、ポーランドなどだ。
新教陣営から旧教陣営まで、アンナ一家は図々しいとも言えるほどの商人根性で切り抜けていこうとするが、やはり戦争中とあって様々な不幸が襲い掛かるのだけは避けられず・・・。
戯曲の全編を通じて、アンナの占めるウェイトの大きさはかなりのもので、他の人物が添え物に感じられてしまうほどである。
読者は自ずと波乱万丈な人生を送るアンナの言動に注視させられることだろう。
母アンナの子連れ従軍記 (光文社古典新訳文庫)母アンナの子連れ従軍記 (光文社古典新訳文庫)

この作品は、光文社古典新訳文庫では『母アンナの子連れ従軍記』というタイトルで出版されている。
原題は"Mutter Courage und ihre Kinder"であり、アンナの名も出ていなければ従軍記であることも示されていないため、岩波文庫のほうがより正確な訳語であるはずで、『母アンナの子連れ従軍記』はタイトルとしては完全な意訳ということになる。
しかしながら、劇中でアンナたちが商品を載せた幌車を引っ張り続けるように、アンナというたくましい登場人物の魅力だけで引っ張っていく作品であるのは事実であろうから、この意訳にもある程度は頷けるというものだ。

『肝っ玉おっ母とその子どもたち』は、軽快な言葉の掛け合いの中で、命の重みや家族の愛情、そして何より、苦境の中で生きていくということを考えさせられる、そんな作品だ。
現実的、あまりに現実的なアンナの生き方に触れてみることは、現実問題として、興味深い体験になるのではなかろうか。
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