スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『モーパン嬢』 テオフィル・ゴーティエ(岩波文庫)


書名:モーパン嬢
著者:テオフィル・ゴーティエ
訳者:井村 実名子
出版社:岩波書店
ページ数:342(上)、343(下)

おすすめ度:★★★★★




テオフィル・ゴーティエの初期作品にして彼の代表作であり、初めての長編小説ともなる作品がこの『モーパン嬢』である。
ゴーティエの耽美的な性格が顕著に表れていて、全体に優雅で美しい小説となっている。
訳文も読みやすいので、ゴーティエに興味がある方は『モーパン嬢』から始めてみるのがいいと思う。

美を愛する芸術家の青年ダルベールが、若く美しい騎士テオドールに恋をした。
ダルベールには恋人の女性がいるにもかかわらず、女性的な美しさを持つ騎士に日に日に強く惹かれていくものだから・・・。
『モーパン嬢』をジェンダー論的な観点から読んでみることも可能であるし、事実そういった切り口の研究は珍しくないのだろうが、本書はその類の理屈を抜きにしても十分楽しめるものとなっているように思う。

『モーパン嬢』には登場人物たちがシェイクスピアの戯曲『お気に召すまま』を演じるというエピソードがあり、『お気に召すまま』の内容が『モーパン嬢』のストーリー展開に対して非常に示唆的なものとなっているので、『お気に召すまま』を事前に読んで内容を把握しておいたほうがいっそう『モーパン嬢』が面白くなることだろう。
今日と扱い方は異なるにせよ、両性具有というテーマが、実はそれほど珍しいものではなかったということなのかもしれない。

『モーパン嬢』は、芸術至上主義を高らかに表明したその序文もたいへん有名なものとなっている。
そしてゴーティエは本編でそれを見事に実践しているのであり、私個人としては、何よりもまず本書に描かれている美的描写を堪能することをお勧めしたい。
ゴーティエの作風にある種の偏りがあるのは事実なので、万人に向いている作品とは言えないかもしれないが、芸術至上主義の頂点を飾る作品の一つとして、一読の価値ある作品であることは間違いないと思う。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリ
PR
最新記事
RSSリンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。