『アンリ・ブリュラールの生涯』 スタンダール(岩波文庫)


書名:アンリ・ブリュラールの生涯
著者:スタンダール
訳者: 桑原 武夫、生島 遼一
出版社:岩波書店
ページ数:311(上)、297(下)

おすすめ度:★★★★




スタンダールの自伝がこの『アンリ・ブリュラールの生涯』である。
五十歳を過ぎて書かれたものであるが、それまでの生涯がすべて網羅されているわけではなく、残念なことに執筆は中断されてしまっている。
それにもかかわらず、スタンダールに関心のある方にはたいへん興味深い作品であると言える。

グルノーブルに生まれたアンリ・ベール。
貴族趣味の強いブルジョア一家に生まれた彼は、物質的には恵まれた家庭に暮らしたものの、母と祖父を除いては愛情を抱くことができないというある種の不遇な少年時代を過ごす。
その後、士官としてナポレオン軍に従軍することになりイタリアへ・・・。
スタンダールの伸び伸びとした筆致は、読者を楽しませることだろう。

『アンリ・ブリュラールの生涯』は、必ずしもすべての出来事が時系列に沿って並べられているわけではなく、話が前後していたり重複していたり、さらには前後の流れとあまり関係のない一節が見受けられたりと、一般的な伝記と比べると、さほどまとまっていない作品という印象を受ける。
しかし、スタンダール自身も述べているように、そこにスピード感が見出されるのもまた事実であり、読者の側で一度そのスピードに乗ってしまえば、ストーリー展開の多少の蛇行もあまり気にならなくなるのではなかろうか。
そういう意味では、『アンリ・ブリュラールの生涯』は短期間で読み切ってしまうべき本と言えるかもしれない。

面白い作品であるにもかかわらず、『アンリ・ブリュラールの生涯』の出版状況はあまり芳しくない。
岩波文庫かスタンダール全集で読むのが普通であろうが、スタンダールの有名作品である割りに、いずれも新品では入手困難である。
スタンダールに興味のある方には、手に入るうちに入手されることをお勧めしたい。
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