『十五少年漂流記』 ジュール・ヴェルヌ(創元SF文庫)


書名:十五少年漂流記
著者:ジュール・ヴェルヌ
訳者:荒川 浩充
出版社:東京創元社
ページ数:465

おすすめ度:★★★★




『十五少年漂流記』といえば、日本でもよく知られたヴェルヌの作品である。
漂流ものの原点とも呼ぶべき『ロビンソン・クルーソー』のいわば十五少年版で、内容的には『宝島』や『蝿の王』をも想起させる作品となっている。
SF的な要素はないので『海底二万里』などとはかなり毛色が異なるものの、ヴェルヌの特徴をよく表している作品であることは間違いないだろう。

少年ばかりを乗せた船が、なぜかニュージーランドはオークランドから沖に流され、嵐にもまれた挙句、とある陸地へと漂着してしまう。
そこが島なのか大陸なのかもわからない場所で、少年たちのサバイバル生活が始まり・・・。
少年たちが過酷な環境に身を置くのかというとそれほどでもなく、むしろ彼らはかなり恵まれた環境にいると言えそうだが、この本は冒険小説なので、多少の現実離れは読者の方で受け入れる必要があるだろう。

個人的な体験であるが、少年ばかり十五人も出てきたのでは区別がつかないのではないか、という懸念がこの本を手にすることを躊躇させたものである。
しかし、実際に中心的な少年は数が限られているので、何人かの少年は区別できないままに読み進めてしまってもさほど支障はない気がする。
登場する少年たちのほとんどがイギリス人であるにもかかわらず、フランス人の少年がいい役どころを与えられているというのは、フランス人であるヴェルヌらしい配役といえようか。

『十五少年漂流記』は子供向けの文学シリーズによく収録されているので、子供の頃に抄訳に触れられた方も多いはずだが、それが完訳版となると、作品の中頃でストーリー展開が遅い部分も出てくる。
それでも、全体としてみれば十分に読み応えのある作品なので、少しでも興味を持った方はぜひ読み始めていただければと思う。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリ
PR
最新記事
RSSリンク