『恐怖の谷』 コナン・ドイル(創元推理文庫)


書名:恐怖の谷
著者:アーサー・コナン・ドイル
訳者:深町 眞理子
出版社:東京創元社
ページ数:342

おすすめ度:★★★★




ホームズシリーズ四作目となる長編小説が本書『恐怖の谷』である。
緋色の研究』と同様に二部構成が採用されていて、残念ながらホームズが解き明かす事件自体の描写はそれだけ少なくなってしまっている。

サセックスの歴史ある屋敷で、その家の主人が殺害された。
被害者はアメリカでの生活が長かったこと、凶器のショットガンがアメリカ製のものであることなどから、事件はアメリカとつながりがありそうに見えるが・・・。
本書の場合、事件捜査の過程でなされるホームズのほのめかしから、読者は事件の解明前にある程度事件の真相に近づくことができるかもしれない。

『恐怖の谷』には、ドイルの演出とでも呼ぶべきか、モリアーティ教授に関する言及があり、それが読者の興味を引くのではなかろうか。
細かいことを言えば、ホームズがモリアーティ教授と直接対決することになる『最後の事件』の記述との整合性が取り切れていない気がするし、モリアーティ教授への言及自体、やや取ってつけたような感じがするのも否めない。
モリアーティ教授の登場というドイルの演出が成功しているかどうかは、各々の読者が判断していただければと思う。

『恐怖の谷』におけるホームズの活躍は十分に面白いものなのだが、既述のように本書ではホームズやワトスンの登場する割合がそれほど高くない。
それに加えて、ストーリーがさほど後味のいい終わり方をするわけでもない。
そういう意味では、あまり一般的に人気の出る作品であるようには思えないので、ホームズシリーズの中ではいくらか優先順位を落としてお勧めすることにしたい。
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