『シャーロック・ホームズの事件簿』 コナン・ドイル(創元推理文庫)


書名:シャーロック・ホームズの事件簿
著者:アーサー・コナン・ドイル
訳者:深町 眞理子
出版社:東京創元社
ページ数:477

おすすめ度:★★★★




シャーロック・ホームズシリーズの最後の作品となった短編集が、本書『シャーロック・ホームズの事件簿』である。
あまり代表的な作品とされるものは収められていないし、事実、巧みな構成と発展を持つ作品に出会うことは期待できないが、それでも異常な事件の数々とホームズの事件解決までの道のりは、これまで通り読者を楽しませるに違いない。

本書には、『高名の依頼人』、『白面の兵士』、『マザリンの宝石』、『三破風館』、『サセックスの吸血鬼』、『ガリデブが三人』、『ソア橋の怪事件』、『這う男』、『ライオンのたてがみ』、『覆面の下宿人』、『ショスコム・オールド・プレース』、『隠退した絵の具屋』の十二編が収録されている。
ワトスンではなく、ホームズ自身を語り手とする『白面の兵士』は、台詞部分が多いのでホームズの語りがそれほど多くないとはいえ、ホームズの語りに彼ならではの皮肉な性格がよく表れていて、やはり他の作品と比べると真新しさが感じられる。
ワトスンが登場するにもかかわらず三人称で語られる『マザリンの宝石』にも、同様の新鮮さがあるといえる。

我が子の首筋から生血をすする母親という、ヴァンパイア伝説を現実化したような奇怪な事件を扱った『サセックスの吸血鬼』は、当然ながら事件そのものに強いインパクトがある。
『ライオンのたてがみ』もまたホームズを語り手とする作品であるが、これはホームズがロンドンからサセックスの田舎へと引退した後の事件だからであって、珍しくワトスンが登場しないものとなっている。

数多く存在するホームズの映像化作品のうち、右に挙げた映画『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』は、ホームズが引退した後の余生を過ごした田舎をイメージする助けになるように思う。
映画自体のストーリーは、ドイルが描いた事件の数々と直接の関係はないのだが、ホームズシリーズを読み続けてきた読者にとっては、独特の感慨深さを与えてくれる映画なので、ホームズとの長い付き合いの締めくくりには、この映画をお勧めしておきたい。
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