『四角い卵』 サキ(白水Uブックス)


書名:四角い卵
著者:サキ
訳者:和爾 桃子
出版社:白水社
ページ数:315

おすすめ度:★★★★




白水Uブックスの新訳サキシリーズの最終巻となるのが本書『四角い卵』である。
短編集『ロシアのレジナルド』と『四角い卵』からの作品がほとんどであるが、そこにいくつか作品が追加されてもいる。
風濤社から出されている『四角い卵』とは収録作品がかなり異なるので、風濤社版を読まれた方にも本書はお勧めできる。

『ロシアのレジナルド』から採られた作品は、ありがたいことに風濤社版の『レジナルド』に収められているレジナルドものとほぼ重複がない。
『レディ・アンの沈黙』や『ゲイブリエル・アーネスト』のように傑作集でよく見かける作品もあるものの、あまり知られていない作品が多いので、何冊かサキの短編集を読んでこられた読者も満足できることだろう。

短編集『四角い卵』の収録作品は、機知と皮肉に富んだ代表的なサキ作品とはいくらか趣を異にするものが多いため、好き嫌いが分かれるかもしれない。
時代背景を知ればその作風に誰しも納得できるはずだが、サキの作品に対して深読みすること自体、ひょっとすると野暮なことなのだろうか。

現状、サキの作品を一つでも多く読みたいという方は、『クローヴィス物語』と『けだものと超けだもの』、『平和の玩具』と本書の、白水Uブックスの全4冊を読むのが最適である気がする。
特に本書『四角い卵』は他の本にあまり収められていない作品が多いので、目新しいサキの作品を求める読者を楽しませることのできる一冊となっている。
その一方で、解説代わりとでも言うべきなのか、サキの選集に付された70ページにも及ぶ序文も訳出されていて、残念なことに本編の割合が減ってしまっている。
この序文がすべての読者に歓迎されるとは考えにくいが、うまくまとまっているのは事実なので、サキのファンであれば読んで損することはないと思う。
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