『気球に乗って五週間』 ジュール・ヴェルヌ(集英社文庫)


書名:気球に乗って五週間
著者:ジュール・ヴェルヌ
訳者:手塚伸一
出版社:集英社
ページ数:383

おすすめ度:★★★★★




ヴェルヌの名を広く知られるものとした出世作が本書『気球に乗って五週間』である。
冒険小説としての側面が強い反面、SF的な要素は非常に弱いのだが、さすがは出世作だけあってとにかく面白い作品となっている。

若い頃から冒険に富む人生を送ってきていたファーガソン博士が、欧米人はまだ誰もたどり着いたことのないアフリカ奥地の探検旅行を思いついた。
旅人に容赦なく襲い掛かる熱病や狂暴な原住民に阻まれて到達困難な地域であるため、気球ヴィクトリア号に乗って探検しようというのだった・・・。
アフリカの地名は一般読者にはなじみのないものばかりであるが、本書の場合はヴィクトリア号の辿った道のりのわかる地図が巻頭にあるので、それを参照すれば位置関係は容易にイメージできるだろう。

『気球に乗って五週間』にも説明的な文章があるにはあるが、基本的には理解しやすい話ばかりなので、本書の場合はヴェルヌがしばしば作品に盛り込んでくる長々しい科学知識が読者をうんざりさせることはないはずだ。
その上、ストーリー展開の速さも優れているし、適度に山場も設けられているため、読者が退屈するとは考えにくい作品に仕上がっている。
とはいえ、今日的な観点からすれば差別的に思われる表現もあるので、そこが気になる読者には不向きと言えるかもしれない。

『気球に乗って五週間』は、その構成や内容などが『八十日間世界一周』に近い作品と言えるだろう。
その長所も共通していて、『八十日間世界一周』が傑作であれば、この『気球に乗って五週間』もまた傑作であると言えるように思う。
老若男女を問わず非常に読みやすい作品でもあるので、ヴェルヌのファンだけでなく、ヴェルヌの作品を初めて読む方にもお勧めできる一冊だ。
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