『バルザック芸術/狂気小説選集〈2〉ガンバラ 他』 バルザック(水声社)

バルザック芸術/狂気小説選集〈2〉ガンバラ 他―音楽と狂気篇 (バルザック芸術/狂気小説選集 2 音楽と狂気篇)バルザック芸術/狂気小説選集〈2〉ガンバラ 他―音楽と狂気篇 (バルザック芸術/狂気小説選集 2 音楽と狂気篇)
(2010/08)
私市 保彦、 他

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書名:バルザック芸術/狂気小説選集〈2〉ガンバラ 他―音楽と狂気篇
著者:オノレ・ド・バルザック
訳者:私市保彦,加藤尚宏,博多かおる,大下祥枝
出版社:水声社
ページ数:332

おすすめ度:★★☆☆☆




バルザックの芸術家小説のうち、本書には音楽家をテーマにした作品として有名な『ガンバラ』を含む4編が収められている。
しかし、同じバルザックの芸術家小説を読むのなら、私は『バルザック芸術/狂気小説選集〈1〉知られざる傑作 他』のほうをお勧めしたいと思う。

『バルザック芸術/狂気小説選集〈2〉』には、『ガンバラ』の他に『マッシミラ・ドーニ』、『ファチーノ・カーネ』、『アデュー』が入っている。
『ファチーノ・カーネ』と『アデュー』の二編は、例によって「音楽と狂気」という副題からややそれる内容のストーリーだが、書き出しから結末に至るまで、たいへんよくまとまった出来のいい短編である。
しかし、肝心の『ガンバラ』はというと、正直言って退屈な部分が多い。
バルザックの芸術家小説を読む以上、多少の音楽論は覚悟の上だったが、専門用語を山ほど交えた楽曲に対する解説の比重が、思いのほか大きいのだ。
芸術家は自らの思うとおりに制作すればいいと、バルザックは登場人物の口を借りてどこかで言っていたが、読書を楽しもうという意図の読者の側からすると、バルザックの悪い癖が出ているとしか思えないのではあるまいか。

同じことは収録作品中最長である『マッシミラ・ドーニ』にも言えて、バルザックのイタリア人論とでもいうべき洞察力の披瀝と、またしてもオペラの解説が延々と繰り広げられていて、話が一向に展開していかない。
本に収録されている順に素直に読み進めている読者からすれば、『ガンバラ』に引き続いて「またオペラの解説か」と感じないではいられないだろう。

先ほども述べたとおり、残りの二編はなかなか面白いのだが、質・量ともにメインとなる二作がスピード感に欠ける作品となっており、あまり一般受けは期待できない。
バルザックの作品を翻訳が出ているだけすべて読みつくそうと思っている人でもない限り、手を出すべきではない本かもしれない。
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