『ウジェニー・グランデ 谷間のゆり』 バルザック(中央公論社)

世界の文学〈第10〉バルザック (1965年)ウジェニー・グランデ  谷間のゆり世界の文学〈第10〉バルザック (1965年)ウジェニー・グランデ 谷間のゆり
(1965)
バルザック

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書名:世界の文学〈第10〉バルザック ウジェニー・グランデ 谷間のゆり
著者:オノレ・ド・バルザック
訳者:田村俶、寺田透
出版社:中央公論社
ページ数:565

おすすめ度:★★★★




中央公論社の『世界の文学』シリーズ、第十巻はバルザックの小説を収めている。
そしてその収録作品はいずれもバルザックの代表作である『ウジェニー・グランデ』と『谷間のゆり』だ。
お金にまつわる泥臭さが少なく、少々の誤解を恐れずに言えば、バルザックの恋愛小説の秀作二編である。

ペール・ゴリオ』と並び、バルザックの代表作として最も有名な『谷間のゆり』。
執筆当初から美しい話を書こうと意図して書いた作品らしく、必ずしもバルザックらしい作品であるとは言えないかもしれないが、ストーリーの美しさには定評があり、まさにそれゆえにバルザックの代表作として根付いているのだろう。
とはいえ、それを退屈と感じる人がいるというのも事実ではあるのだが・・・。

この『谷間のゆり』、内容からすれば人間喜劇の中で地方生活情景に区分されているのかと思いきや、田園生活情景という区分に入っている。
近似した観念である地方生活と田園生活とは何が違うのか、他の田園生活情景の作品があまり翻訳されることがないため、人間喜劇の区分に対するバルザックの考えを読み解くうえではたいへん興味深い地位を占めている作品でもある。

一方で、『ウジェニー・グランデ』は地方生活情景に分類されている。
田舎の人々の純朴さを描いていて、同じく地方生活情景の『田舎のミューズ』に似た雰囲気を持っている。
恋愛の中にも打算が見え隠れするという、よりバルザックらしい作品であると言えるだろうか。
谷間のゆり (岩波文庫)谷間のゆり (岩波文庫)
(1994/12/16)
バルザック

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バルザックの代表作である『谷間のゆり』は岩波や新潮などの文庫でも読むことができるが、『ウジェニー・グランデ』は今日入手が難しいのが現状だ。
この中央公論社の『世界の文学』シリーズは文庫よりは一回り大きいものの、文学全集のわりには文字も読みやすく、挿絵も入っているので読みやすい。
バルザックを知るうえで最適なチョイスであるとは言えないかもしれないが、内容も充実しているので、幅広い読者に受け入れられる本だと思う。
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