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『未成年』 ドストエフスキー(新潮文庫)

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書名:未成年
著者:ドストエフスキー
訳者:工藤 精一郎
出版社:新潮社
ページ数:632(上)、633(下)

おすすめ度:★★★★




この『未成年』、ドストエフスキーの長編作品の中では、おそらくあまり読まれていない作品であろうか。
罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』など、ドストエフスキーの他の長編作品と比べると、事件というほどの事件は起きないし、テーマの深遠さにも欠けるところがあるが、そうはいってもやはり世界文学の巨匠中の巨匠であるドストエフスキーの描く人間模様は非常に面白い。
ドストエフスキーの魅力を存分に味わうことのできる作品なので、もっと読まれてしかるべき作品だろう。

『未成年』は、若き主人公が込み入った人間関係の中を東奔西走するという物語だ。
カラマーゾフの兄弟』ほどではないにせよ、平板ではない家族関係も読者の興味を喚起する。
そもそも「未成年」という存在は「成年」があってこその概念だが、主人公を取り巻く「成年」たちとのやり取り、特に父とのそれはこの作品の中で強力なアクセントとなっている。
ツルゲーネフの『父と子』と読み比べてみるのもいいと思う。

ドストエフスキーの長編作品は、場面の転換の仕方に独自性がある。
主人公が読者の予想をはぐらかした場所へ赴いたり、どこかへ行こうとしている最中に偶然別の人に出会ったり、意外な人物の訪問を受けたりする。
そうして次第に筋が程よく錯綜していくのだが、その特徴は『未成年』にもよく表れている。
『未成年』には、物語の行く先を左右する一癖も二癖もある女性ももちろん登場するし、焦燥感をあおる筋運びもなされていて、とてもドストエフスキーらしい作品でもある。
インパクトに欠ける作品かもしれないが、退屈になって放り出してしまうこともまたないはずだ。

★は四つにしたが、『未成年』が不出来に思えるという理由での評価ではなく、ドストエフスキーは単に他の長編が素晴らしすぎるというだけのこと。
若干のほころびが見当たらないわけではないが、読む価値は十分にある大作の一つである。
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