『賭博者』 ドストエフスキー(新潮文庫)

賭博者 (新潮文庫)賭博者 (新潮文庫)
(1969/02)
ドストエフスキー

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書名:賭博者
著者:ドストエフスキー
訳者:原 卓也
出版社:新潮社
ページ数:317

おすすめ度:★★★★




一か八かの勝負に出る人の心理を巧みに描いた作品、『賭博者』。
自身が賭博にのめり込んでいたドストエフスキーが、自らの経験を生かして書いた小説として知られている。
基本的に賭け事を好きではない私には、人はこんな愚かなことをするだろうかと小首をひねるシーンもあったが、ギャンブルをやる人であればそれも共感することができて、より面白く読める作品かもしれない。

保養地として各国の人々の集まるドイツの温泉町を舞台に、物語は進む。
ルーレットに熱い視線を注いでいた人が、いつしか盤上を転々とするルーレットの玉のように運命に翻弄されていく・・・。
勝負には勝つことも負けることもあるが、それが人間ドラマにどのように反映されることになるのか。
理性のたがが緩みきった熱狂の瞬間、人生の転変を文字通り賭けた瞬間、その緊迫感あふれる描写には、ついつい読者も引き込まれてしまうことだろう。

それにしても、ドストエフスキーに限らず、ロシア文学では賭け事に熱中する人々がよく描かれているという印象を受ける。
暇さえあればカードに興じる貧しい人々や、カードで借金を作り破滅していく貴族や将校など、他の国々の文学作品と比べても賭博に取りつかれた登場人物は決して少なくないはずだ。
『賭博者』でも触れられているが、ギャンブル好きな性質は先天的なロシア人の気質として根付いているのだろうか。
作者のドストエフスキーだけに限ったことではなく、身を持ち崩す悪癖として賭け事は当時のロシア社会に広く浸透していたに違いない。

ドストエフスキーの作品の中ではやや異色の感があるが、人間模様の描き方にはドストエフスキーらしい点が多い。
思想色が薄く、それだけ読みやすい作品なので、一般受けしやすいものと思う。
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